健全化判断比率4指標の基準値と夕張市の例

健全化判断比率とは

健全化判断比率は、「地方公共団体の財政の健全化に関する法律」(2007年制定)に基づいて、すべての自治体が毎年度算定し、監査委員の審査を経て議会に報告し、公表する4つの指標の総称です。いずれかが早期健全化基準以上になると財政健全化計画の策定が義務づけられ、財政再生基準以上になると財政再生計画を作り、国の関与のもとで再建を進めることになります。

この法律ができる前は、一般会計の赤字だけで自治体の健全性を判断していました。公営企業や第三セクターの負債が見えないまま破綻した夕張市の経験を受けて、全会計と将来の負担まで対象を広げたのがこの4指標です。

4つの指標の意味

  • 実質赤字比率: 一般会計等の実質赤字額を標準財政規模で割ったもの。福祉や教育など日常の行政を行う会計の赤字の大きさを示す。
  • 連結実質赤字比率: 公営企業会計を含む全会計の赤字と黒字を合算し、標準財政規模で割ったもの。自治体全体の赤字の大きさを示す。
  • 実質公債費比率: 地方債の元利償還金と、公営企業の借金返済への繰出金などの準元利償還金を合わせた実質的な返済額の、標準財政規模に対する比率の3か年平均。資金繰りの厳しさを示す。
  • 将来負担比率: 地方債残高に加え、退職手当の支給予定額、第三セクターへの損失補償などを含めた将来の負債を、標準財政規模で割ったもの。将来の財政を圧迫する可能性を示す。

早期健全化基準と財政再生基準

指標 早期健全化基準 財政再生基準
実質赤字比率 市区町村: 財政規模に応じ11.25%〜15%、道府県: 3.75% 市区町村: 20%、道府県: 5%
連結実質赤字比率 市区町村: 財政規模に応じ16.25%〜20%、道府県: 8.75% 市区町村: 30%、道府県: 15%
実質公債費比率 25% 35%
将来負担比率 市区町村(政令市を除く): 350%、都道府県・政令市: 400% なし

将来負担比率には財政再生基準がありません。この指標は残高の大きさを見るもので、直ちに資金繰りに詰まるわけではないためです。なお、公営企業については別に資金不足比率があり、経営健全化基準は20%です。

2024年度決算の全国状況

総務省が2025年11月に公表した「令和6年度決算に基づく健全化判断比率・資金不足比率の概要(確報)」によると、1,788団体のうち早期健全化基準以上の団体は北海道夕張市の1団体だけで、同市は財政再生基準以上です。実質赤字、連結実質赤字がある団体はありません。市区町村の平均値は、実質公債費比率が5.6%、将来負担比率が6.2%でした。

平均がこれほど低いのは、基準が「破綻の手前」を示す数値だからです。実質公債費比率が10%台でも、同規模の平均と比べれば高い部類に入ります。基準に達していないから安心、という読み方はしないでください。

夕張市の例

夕張市は2010年3月9日、総務大臣の同意を得て財政再生計画をスタートさせました。計画の概要によると、再生の期間は2009年度から2029年度まで、赤字解消の実質的な期間は2010年度から2026年度までの17年間です。解消すべき赤字額は322億円で、2008年度決算の標準財政規模46億円の約7倍にあたります。職員の基本給は平均20%削減し、市民税や固定資産税の税率は引き上げ、使用料や手数料も見直すという内容でした。

2024年度決算での同市の実質公債費比率は68.1%、将来負担比率は104.5%です。前年度は67.2%と171.7%でしたから、返済は進んでいます。それでも、財政再生基準の35%をなお大きく上回っています。

夕張市の規模は人口約6千人、市議会の定数は8人です。全国の市の中でもっとも小さい部類の自治体が、標準財政規模の7倍の負債を抱えたことが、この法律が生まれる直接のきっかけになりました。

読むときのポイント

  • 4指標は決算カードと、総務省の健全化判断比率の公表資料で確認できる。
  • 実質公債費比率は3か年平均なので、単年の大型投資はゆっくり反映される。
  • 日常の財政運営の硬さを見るなら経常収支比率、税収の厚みを見るなら財政力指数を合わせて読む。

お住まいの市区町村の値は、このサイトの自治体ページで同規模の自治体と比べられます。都道府県一覧から探してください。

出典

このサービスは、政府統計総合窓口(e-Stat)のAPI機能を使用していますが、サービスの内容は国によって保証されたものではありません。出典: 政府統計の総合窓口(e-Stat)「社会・人口統計体系 市区町村データ」をもとに株式会社フィーノが集計。