経常収支比率とは 計算式と目安、硬直化の意味

経常収支比率の計算式

経常収支比率は、自治体の財政構造の弾力性を測る指標です。総務省の定義は次のとおりです。

経常収支比率 = 人件費、扶助費、公債費などの経常的経費に充てた一般財源 ÷ 経常一般財源等(地方税、普通交付税など) × 100

分母は、毎年度決まって入ってくる使い道の自由なお金です。地方税、普通交付税、地方譲与税などが入ります。分子は、毎年度決まって出ていく経費のうち、そうした自由なお金で払った分です。比率が100%なら、自由に使えるお金が固定費で消えて、新しい事業に回す余地がないことになります。

決算カードでは、減収補塡債特例分と臨時財政対策債を分母に含めた数値と、それらを除いた数値(かっこ書き)の2つが載っています。他の自治体と比べるときは同じ方の数値を使ってください。

目安は時代とともに変わった

自治体の財政分析では長く、都市は75%、町村は70%程度が妥当で、それぞれ5ポイント上回ると弾力性を失いつつある、と説明されてきました。京都市の財政資料にもこの記述があります。

しかし現在の実態はそこから大きく離れています。総務省の「令和6年度市町村普通会計決算の概要(速報)」によると、2024年度の市町村の経常収支比率は93.8%で、前年度の93.1%から0.7ポイント上がりました。90%を超える団体が普通で、75%を下回る市は珍しい存在です。

つまり、75%という古い目安を今の自治体に当てはめて「硬直化している」と断じるのは適切ではありません。比べるなら、同じ年度の同規模自治体の平均との差を見るのが現実的です。

硬直化とは何を意味するか

比率が高い状態を財政の硬直化と呼びます。意味するところは、景気の悪化や災害などで急な支出が必要になったとき、既存の経費を削らないと対応できない、ということです。比率が高くても、毎年の収支が黒字で基金もあるなら直ちに困りません。問題は、比率が上がり続ける構造にあるかどうかです。

比率を押し上げる要因は、分子の増加と分母の減少の両方にあります。分子では社会保障費の自然増や過去の借入の返済、分母では人口減少による税収の落ち込みや交付税の減少が効きます。

人件費・扶助費・公債費との関係

分子の中心になるのが、人件費、扶助費、公債費の3つです。この3つは任意に削ることが難しいため、まとめて義務的経費と呼ばれます。2024年度の市町村決算では、歳出総額69兆1,091億円のうち義務的経費が34兆1,754億円で49.5%を占めます。内訳は人件費15.7%、扶助費25.9%、公債費7.8%です。

この3つのうち、近年もっとも増えているのが扶助費です。児童手当の拡充や保育の給付単価の改定で、2024年度は前年度比8,899億円増えました。扶助費の多くは国の制度に基づく支出で、自治体の裁量で減らせる部分はわずかです。扶助費の中身は扶助費とはで詳しく説明しています。

公債費は、過去に発行した地方債の返済です。大型施設の建設から数年遅れて増え始め、償還が終わるまで下がりません。経常収支比率を読むときは、公債費の見通しも一緒に確認すると、数年先の硬直度が見えてきます。

読むときの手順

  1. 同じ年度の同規模自治体の平均と比べる。
  2. 5年程度の推移を見て、上昇が続いているか確認する。
  3. 人件費、扶助費、公債費のどれが比率を動かしているかを決算カードの性質別歳出で確かめる。
  4. 財政力指数と合わせて、税収の厚みも見る。

お住まいの市区町村の値は、このサイトの自治体ページで同規模の自治体と比べられます。都道府県一覧から探してください。

出典

このサービスは、政府統計総合窓口(e-Stat)のAPI機能を使用していますが、サービスの内容は国によって保証されたものではありません。出典: 政府統計の総合窓口(e-Stat)「社会・人口統計体系 市区町村データ」をもとに株式会社フィーノが集計。