扶助費とは 増え続ける理由と義務的経費

扶助費とは

扶助費は、性質別歳出の区分の一つで、総務省の定義では「社会保障制度の一環として地方公共団体が各種法令に基づいて実施する給付や、地方公共団体が単独で行っている各種扶助に係る経費」です。現金の給付だけでなく、物品の提供や、保育所などへの給付も含まれます。

性質別歳出は、人件費や物件費など「どのような性質の支出か」で分ける区分です。これに対して、民生費や教育費など「何の目的に使ったか」で分けるのが目的別歳出です。扶助費の大部分は目的別では民生費に入ります。

主な中身

  • 生活保護: 生活扶助、医療扶助、住宅扶助など。実施主体は市と福祉事務所を置く町村で、費用の4分の3を国が負担します。
  • 児童福祉: 児童手当、保育所や認定こども園への施設型給付、児童扶養手当、子ども医療費の助成など。
  • 障害者福祉: 障害福祉サービスの給付費、自立支援医療、補装具の支給など。
  • 高齢者福祉: 介護保険は特別会計のため普通会計の扶助費には入りませんが、市町村が単独で行う高齢者向けの給付は含まれます。

増え続ける理由

総務省の「令和6年度市町村普通会計決算の概要(速報)」によると、2024年度の市町村の扶助費は17兆8,905億円で、前年度から8,899億円(5.2%)増え、歳出総額の25.9%を占めました。2020年度の14兆2,800億円から4年で3兆6千億円ほど増えています。

2024年度の増加の主な要因として総務省が挙げているのは、認定こども園等を対象とした施設型給付における人件費の単価改定と、児童手当制度の拡充です。この2つに共通するのは、国が制度を決め、市町村が給付を実施している点です。人口が減っていても、制度の対象が広がれば扶助費は増えます。

中期的には、高齢化による医療・介護関連の給付の増加、障害福祉サービスの利用者の増加、物価上昇に伴う給付単価の改定が重なっています。市町村が単独で縮小できるのは、子ども医療費の助成など自治体独自の上乗せ部分に限られ、それも住民の理解なしには動かせません。

義務的経費としての位置づけ

扶助費は、人件費、公債費とともに義務的経費に分類されます。総務省の定義では「任意に削減できない極めて硬直性が強い経費」です。2024年度の市町村決算では、義務的経費は34兆1,754億円で歳出総額の49.5%を占め、内訳は人件費15.7%、扶助費25.9%、公債費7.8%です。扶助費は3つの中でもっとも大きく、もっとも伸びています。

この構造は、財政指標にも表れます。扶助費に充てた一般財源は経常収支比率の分子に入るため、扶助費の増加は比率を押し上げます。ただし、扶助費の多くは国庫支出金や都道府県支出金という特定財源で手当てされるので、歳出額の伸びがそのまま一般財源の負担になるわけではありません。

読むときの注意

  1. 扶助費の額は、人口構成と福祉事務所の有無で大きく変わる。生活保護を実施しない町村と市を単純には比べられない。
  2. 1人当たりの扶助費が高い自治体は、高齢者や子どもの割合が高いか、独自の給付が手厚いかのどちらかである。決算の数字だけでは区別がつかないので、目的別歳出の民生費の内訳と合わせて読む。
  3. 扶助費を「削減すべき無駄」として扱う議論は、法律で義務づけられた給付の存在を見落としている。

お住まいの市区町村の値は、このサイトの自治体ページで同規模の自治体と比べられます。都道府県一覧から探してください。

出典

このサービスは、政府統計総合窓口(e-Stat)のAPI機能を使用していますが、サービスの内容は国によって保証されたものではありません。出典: 政府統計の総合窓口(e-Stat)「社会・人口統計体系 市区町村データ」をもとに株式会社フィーノが集計。