選挙運動の公費負担(選挙公営)の対象と条件

選挙公営とは

選挙公営は、候補者の選挙運動の費用の一部を公費でまかなう制度です。お金のある人だけが立候補できる状態を避け、候補者間の条件をそろえるために設けられています。国政選挙では公職選挙法が直接定め、地方選挙では法律が認めた範囲で各自治体が条例を定めて実施します。したがって、同じ市議会議員選挙でも、自治体によって公費負担の有無と上限額が異なります。

対象となる費用

  • 選挙運動用自動車(公職選挙法第141条第7項・第8項): 自動車の借り上げ、燃料、運転手の費用。地方選挙では条例で定めることにより無料にできます。
  • 選挙運動用ビラ(第142条第11項): 条例で定めることにより作成費用を無料にできます。頒布できる枚数は法で決まっており、指定都市以外の市議は4,000枚、町村議は1,600枚、市長は16,000枚、町村長は5,000枚です(いずれも2種類以内)。
  • 選挙運動用ポスター(第143条第15項): 条例で定めることにより作成費用を無料にできます。
  • 選挙運動用通常はがき(第142条第1項): 法定枚数まで無料で差し出せます。枚数は、指定都市以外の市議が2,000枚、町村議が800枚、市長が8,000枚、町村長が2,500枚、都道府県議が8,000枚です。

このほか、ポスター掲示場の設置、選挙公報の発行、新聞広告(国政と知事選)などは自治体や国が直接行う公営です。

2020年の法改正で町村も対象に

自動車、ビラ、ポスターの条例による公費負担は、長く都道府県と市の選挙だけに認められ、町村の選挙は対象外でした。町村議会議員選挙ではビラの頒布そのものが禁止されていました。

2020年6月に公布された公職選挙法の改正で、町村議会議員選挙と町村長選挙も条例による選挙公営の対象になりました。改正の内容は次のとおりです。

  1. 町村議会議員選挙と町村長選挙について、自動車の使用、ビラの作成、ポスターの作成を条例による公営の対象とする。
  2. 町村議会議員選挙でビラの頒布を解禁し、上限を1,600枚(通常はがきの2倍)とする。
  3. 町村議会議員選挙に供託金制度を導入し、額を15万円とする。没収点は市議会議員選挙と同じにする。
  4. 公布の日から6か月を経過した日(2020年12月12日)から施行する。

全国町村会と全国町村議会議長会が、担い手不足への対策として要望していた改正です。公営を受けるには、各町村が条例を制定する必要があります。

上限単価は条例で決まる

公費負担の額は無制限ではありません。法律は「政令で定める額の範囲内」と定め、公職選挙法施行令が自動車の1日あたりの上限やポスター1枚あたりの上限などを示しています。各自治体はその範囲内で条例に単価と上限を書き込みます。たとえばポスターなら「1枚あたりの単価 × 掲示場の数」までが公費負担の上限になります。

候補者は業者と契約を結び、業者が自治体に請求する仕組みです。候補者本人にお金は渡りません。条例の単価を超える部分は候補者の負担です。実際の単価は自治体ごとに違うため、立候補を考える人は、自分の自治体の条例と選挙管理委員会の手引きで確認する必要があります。

供託物没収点に達しないと受けられない

公費負担には重要な条件があります。公職選挙法第141条第7項のただし書により、自動車の公費負担を受けられるのは供託物が没収されない場合に限るとされ、ビラとポスターの規定もこれを準用しています。つまり、得票が没収点(議員選挙なら有効投票総数÷定数÷10)に届かなかった候補者は、公費負担の対象から外れ、契約した費用を自分で払うことになります。

町村議会議員選挙に供託金が導入されたのも、この仕組みを町村に広げるためです。公費負担と供託金は一対の制度だと理解してください。没収点の計算は選挙の供託金で説明しています。

読むときの注意

  • 公営の対象と上限は自治体の条例で決まる。隣の市と同じとは限らない。
  • 請求できるのは実際に使った分だけで、上限額まで自動的に支払われるわけではない。
  • 公費負担の原資は自治体の一般財源である。候補者が多いほど議会費以外の選挙費が増える。

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出典

このサービスは、政府統計総合窓口(e-Stat)のAPI機能を使用していますが、サービスの内容は国によって保証されたものではありません。出典: 政府統計の総合窓口(e-Stat)「社会・人口統計体系 市区町村データ」をもとに株式会社フィーノが集計。